ロータのバランス調整

 

ロータがスムーズかつ安全に動作するためには、ロータのバランスがとれていなければなりません。後述のシンプルなルールに従うことで、ロータのバランスを適切にとることができます。

  1. バケットをセットせずにロータを運転してはいけません。ただし、対になるバケットは空のままでも構いません。
  2. 対になる負荷はすべて、遠心機メーカーの取扱説明書に記載の規定の重量の範囲内でバランスがとれていなければなりません。
  3. アダプタにチューブを部分的に配置した状態で運転する場合は、これらのチューブが回転軸と各バケットのスウィング軸の両方に対して対称となるように配置しなければなりません。チューブを部分的に配置する場合、対になる両バケットセットに対して正しく対称に配置することが難しいこともあります。そうした場合、同じサイズのチューブを水(必要であれば、より高密度の液体)で満たし、負荷のバランスを対称にすることが最も簡単な解決方法です。

ロータの正しい対称性

多くの遠心機は、インバランスによる偏心回転でドライブシャフトやベアリングを損傷する前に、遠心機が停止するインバランス検出機能を備えています。ただし、このインバランス検出機能が作動するほどインバランスの度合いが深刻でない場合であっても、キャリアまたはアダプタ内のチューブ配置が適切でないことで適切に分離されないことがあります。こうした状況で遠心機を運転しても、バケットが必要な水平位置で回転できず、その結果、密度分離が不十分になったり一度沈降した物質が減速中に再度混合されてしまったりする場合があります。また、バケットが運転スピードで水平に達しなければ、運転中にチューブが破損する可能性も極めて高くなります。

ロータの加速または減速中に、遠心機が振動することにお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。これは、ロータが臨界速度範囲を通過し、その際に小さな振動が一時的に増幅されることによって発生する正常な現象です。遠心力は振動を安定させる十分な大きさであることから、減速時に分離に影響が出ることはありません。とはいえ、こうした過度の振動が生じる範囲の運転スピードは選択すべきではありません。避けるべきスピードは取扱説明書をご参照ください。

バランスをとるための正しい配置―スウィングロータの平面図

バランスのよい配置の例:

 

すべてのチューブが同じ量の液体で満たされていると仮定すれば、このロータのバランスはとれています。対になるA-CおよびB-Dのバケットセットには、同数のチューブがセットされており、スウィング軸に対してバランスがとれています。また、各バケットはその回転軸に対してもバランスがとれています。

バランスの悪い配置の例:

 

すべてのチューブに均等にサンプルがはいっていたとしても、このロータのバランスは適切ではありません。いずれのバケットの配置も、そのスウィング軸に対してバランスがとれていません。運転スピードに達しても、AとCのバケットは水平に達しませんし、バケットBとDは水平位置を超えて傾いた状態で回転します。また、対になるBとDのバケット内のチューブの配置は、回転軸に対しても非対称となっています。

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