Ⅴ. 目印を見つけるため -抗原抗体反応-
細胞表面の目印を見つける技術の基礎は、抗原抗体反応です。
抗原は、通常生体にとっての異物を指すことが多く、例えばスギ花粉症の場合、スギ花粉が抗原ということになります。これに対して抗体は、この抗原を除去するための生体側が持っている防御因子の1つで、体液中に存在しています。
これら、抗原と抗体が結合する反応のことを抗原抗体反応と呼びますが、抗原と抗体の関係はよく鍵と鍵穴の関係にたとえられます。
すなわち、抗体と抗原は一対一の対応を示す性質があり、先の例でいうとスギ花粉に対する抗体は、スギ花粉にだけ結合することになります。こうした一対一の反応性のことを、特異性と呼びます。
ヒトの抗体には5つのクラス(構造の異なるものの大別)があり、それぞれIgG、IgM、IgD、IgA、IgEと呼ばれます(IgはImmunogloblinの略です)。それぞれのクラスの抗体は役割や存在している場所が異なり、血液中や消化管粘膜など、生体内のさまざまな場所で免疫系を担っています。